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ハンドルネームという文化

ここを読んでいるみなさんは、「ハンドルネーム」というものをご存じでしょうか。たとえば、私のハンドルネームは「むねピ!」です。そう、つまりネット上における「ニックネーム」あるいは「ペンネーム」のことです。

さて、今はパソコンを使った通信といえばインターネットですが、その昔(といってもほんの数年前まで)は、文字通り「パソコン通信」と呼ばれる世界がありました。私が利用しているインターネットサービスプロバイダ(ISP:プロバイダ)であるNiftyServeは、実はISPでなくこのパソコン通信を提供している会社です。今は、ほとんどISPのように使っていますが、パソコン通信サービスも利用できます。

みなさんの中には「パソコン通信」とはいったいどんなものか、インターネットとは違うのかわからない人もいるでしょう。

「パソコン通信」というのは、一つの「閉じた世界」にアクセスするものと言っていいでしょうか。例えばNiftyServeであれば、Niftyの国籍 (ID)を取得することでその世界にアクセスでき、会議室や、メールもNiftyの住人とだけ行います。だから、他の「閉じた世界」、例えばPC-VAN なんかの住人とメールのやりとりをしたければ、そちらのIDも取得する必要があります。実際、パワーユーザーの方々では複数の「世界」に籍を置いていることは珍しくありませんでした。

インターネットは、この閉じた世界と別の世界を共通のルールでつないだものです。閉じた世界も別の世界もこのルールでコミュニケーションすることにすれば、それらは見かけ上全く区別なく扱えます。つまり、閉じた世界は、「開かれた」わけですね。しかし、逆に言えば誰に見られているか特定しにくくなってしまったとも言えます。

違いは他にもあります。

「パソコン通信」は歴史が長いため、現在のようにパワフルなパソコンは存在しない時代からありました。それで、コミュニケーションは文字のみで行います。だから、私が関西弁で書けば、読む人は関西人と思うかも知れませんし、女性のふりをすることもできます。

しかし、今のパソコンは画像をたやすく処理し、通信速度もパソコン通信が生まれた頃とは比べるべくもなく高速になっています。それでインターネットでは画像や音声を使うことは当たり前のようになっています。だから、自己紹介に写真をつけたりすることは簡単にできるわけです。

さて、そろそろ「ハンドルネーム」の話題へ戻りましょう。

ハンドルネーム(略してハンドル)はこの「パソコン通信」の世界で始まったものです。さっきも言ったように、パソコン通信は文字のみのやりとりのため、他の人格を演じることができます。私がハンドルに「小野小町」なんてつけたら読む人は可愛い女性かななんて思うでしょう。言葉遣いもおしとやかな女性言葉にすれば完璧です。現実で偽名を名乗ったりしては問題が起こりますが、パソコン通信の世界ではこれは許されているのです。(というか、自分で名乗り出るか、他の手段をとらない限りわかりません。)

そして、ハンドルはこのネット上の人格に対する名前なのです。だから、少なくともネット上でハンドルを名乗っている人に対しては、ハンドルで呼びかけるべきであり、人格を演じているならばその人格に対して呼びかけるべきなのです。たとえその本人を知っていても、本名で呼びかけたりすることはネット上のルールを無視することに他なりません。

長い「パソコン通信」の歴史の中で、ハンドルに象徴されるこういったルールは、すでに文化と呼べるものになってしまっているのです。

私も特に人格は演じていませんが、ハンドルを名乗っています。だから、ネット上では「むねピ!」で呼んでほしいし、外では呼んでほしくないわけです。

しかし、インターネットが普及してそういった「文化」事情を知らない膨大な数の人々がネット上に現れました。だから、ルールを無視した書き込みなどがちらほら見かけられます。そういう行為はせっかく作ったその人の雰囲気をぶち壊しにしてしまうものであり、決していいものではありません。

私のページにもパソコン通信を知らない人は来ているようですし、そういう行為があったというわけではありませんが、この機会に、ぜひネット上のルール(ネチケットとか言ったりする)を勉強してみてください。